歯科医院を選ぶポイント
どんなに素晴らしい設備や器具器材を使用したとしても、結局使うのは人間です。使う目的や使い方が違えば、結果は大きく違ってきます。人工物を体に埋め込むという歯科治療の中で、最も難易度の高いインプラント治療ですから、歯科医個人の考え方や取り組む姿勢、更に性格までが治療の結果や予後に大きな影響を与えます。担当医とコミュニケーションを密にとり、長いお付き合いのできそうなクリニックを選んでください。
セカンドオピニオンの重要性
大きな治療をするときは、だいたい3軒の病院を回れば本当のことが分かってきます。一人の意見だけではなく、複数の意見を聞くことが真実に近づくカギとなるのです。
その際は専門性が異なるドクターの意見を聞いておくとよいでしょう。例えば同じ癌でも、外科手術に長けた医師、化学療法を専門とする医師、放射線療法を専門とする医師がそれぞれ専門の治療法を最優先で考えてしまいがちです。しかし患者さんにとって一番よいのは、専門性にとらわれず、患者さんの症状にあわせたベストなタクトを振ってくれることです。治療で何がよいかは患者さんに分からないこともありますが、どの病院でどの治療法を選ぶのかというのは患者さんの決めることなのです。したがって、セカンドオピニオン、サードオピニオンが重要になってきます。
治療の口腔内写真を見せてくれるかがカギ
歯科医院を選ぶ判断基準で特に重要なのは、自分の行った治療を自信をもって患者さんに見せているか、見せていないかです。口腔内写真とレントゲン写真は、まさに歯科医が治療を包み隠さずに物語っているものなのです。本当にレベルの高い歯科医は、自分で治療した患者さんの口腔内写真とレントゲン写真は必ず保存しています。それがなければに、本当によい治療など出来るはずがないからです。
ですから、本当に信頼ができる歯科医師を見極めたければ、「今までやった治療の写真やレントゲン写真をみせてください」と聞いてみてください。自信をもって治療に取り組んでいる歯科医師であれば躊躇なく見せてくれるはずです。
KU歯科クリニック
渋谷院 総院長
院長 鎌田 昌美
大きな悩みであればあるほど、1人の歯科医師からからのアドバイスだけでなく、複数の医院で相談されてから医院選びをしたほうがいいと思います。
年間200本以上のインプラント実績が目安
口腔内はすべてにおいて個体差が顕著であるため、外科的な経験、技術、知識の有無は、インプラントの治療を行う上で大事なことです。そして歯科治療においてどんなにセンスや知識があっても、数を常時こなしていなければ技術を維持し、それにさらに磨きをかけることはできません。
また、簡単な症例だけで年間200本、300本の治療を行うのは難しいものです。難易度が高いやわらかい上の奥歯や、骨の痩せた下の歯を治療にも対応していかないと、それだけの本数にはなりません。その数字をこなしているということは、それだけ高い技術力をもっているという証でもあるのです。
設備もインプラント治療では大事な要素
インプラント治療を行うのであれば、相応の設備が必要になってきます。一般的な歯科治療を行うような環境で、本来、露出すべきではない部分を露出させて手術するのがよいかどうかは、論ずるまでもありません。
インプラント治療を受ける際の歯科医院選びで、セグメント(隔離)された専用の手術室があるかないかというのも大事な基準になってくるでしょう。
歯科医の本当の評価は学会やスタディ・グループにあり
歯科業界にはカテゴリーごとにさまざまな学会があります。歯周病学会、小児歯科学会、矯正学会、口腔外科学会、口腔インプラント学会など、さまざまな学会では専門医制度や認定医(認証医)制度を設けています。大きな組織が認定している「専門医」や「認定医」といった肩書きだけが信頼の証というわけではありませんが、今は学会やスタディ・グループでの評価というものがあります。
近年、大小さまざまな学会やスタディ・グループによる、学会の壁を乗り越えての活動が活発化しています。歯周病なら口腔外科とのつながりもありますし、インプラントを利用する矯正もあります。それらの垣根を超えなければ現代の歯科医療は成立しないこともあって、学会やスタディ・グループでの発表や成果の評価がどんどん上がってきているのです。